● 今中道雄さん 大阪市在住 今回の杭州での二胡演奏会の思い出を綴って見ました。
まず二胡に巡り合った経緯からお話したいと思います。
今から12年前の1999年に中国の広州にある合弁会社で勤務するよう社命がありました。それ以前にシンガポールでの
海外勤務等、英語でなんとか生活できるところでの海外経験はありましたが、今回は中国と言うことで会社の配慮も
もあり、赴任前に北京師範大学に二ヶ月間中国語の研修を受けることになりました。
給料をもらいながら煩雑な仕事を忘れて快適な毎日でしたが、午前中だけの授業で午後は復習予習だけの単調な毎日
でした。
そんな中で学校側の要請で習字、京劇、中華料理、二胡の課外学習に参加しないかと話があり、私は見るのも聞くのも
初めての二胡を選びました。これが二胡との最初の出会いでした。
ギターのような音階の位置を示す印はありませんが、弦が二つだけなのでそれほど面倒な楽器ではないと最初は思
いました。しかし然に非ず。D調の音階は自己流ではありますがなんとか弾けましたが、きれいな澄んだ音、高
いポジションの音はうまく弾けませんでした。
しかしいつかきれいな音を出せると信じつつ、簡単に何時でも何処でも弾ける楽器に次第に嵌って行きました。
最初に習った曲が皆さんもご存じと思いますが「鄂倫春舞曲(オロチョン舞曲)」と言う少数民族の楽しい曲で大変親
しみを覚えました。その曲を語学研修終了パーティで仲間と一緒に演奏したことが今でも思い出に残っています。
そして二ヶ月間の語学研修も終わり、広州の合弁会社での本来の仕事が始まりました。
広州在任中も中国人の先生に個人レッソンを受け、長きにわたり二胡と付き合って来ましたが、音楽的素質の無い私
にとって上達の道は程遠い状態でした。
しかし北京から二胡を抱えて赴任した日本人が相当変わり者と思われたのか春節や会社の行事の席で演奏を要望
され、断り切れず恥をかきながら演奏しました。
その時の一例をご紹介します。写真1は会社の行事の席で演奏した時の社内報の記事です。
中国語で書かれているので内容は分かりにくいと思いますが、春節に弾いた時は鋸を挽く時のギイギイなる音で聴くに耐
えない状況であったが、中秋の宴席では少しは聞けるようになったと書かれています。
写真2は社内旅行で雲南省の麗江に行った時、玉龍雪山の頂上で弾いている振りをしている時の写真です。
富士山より高い4000m級の山頂ですので酸素も薄く、弓を弾くのも苦しかったことを思い出します。
隣の女性は日本語の分かる旅行案内人です。
写真3は日本からのお客さんを桂林に案内した時、麗江下りの船上で実際に弾いている時の写真です。
坂本九の「上を向いて歩こう」を弾いた時、隣に写っている欧米人の女性から「SUKIYAKI SONG VERY GOOD」とお褒
めの言葉を頂きました。
写真1(社内報)
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写真2(玉龍雪山の頂上)
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写真3(麗江下りの船上)
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それから中国駐在の任期も終わり2004年5月に日本に帰国しました。
横浜の朝日カルチャーで劉鋒先生に初めてお目にかかり、それからが劉鋒先生とのお付き合いが始まりました。
朝日カルチャー卒業後、劉鋒二胡研究会に入会してグループ名「老虎小燕」の一員になり現在に至っています。
自分自身の紹介を兼ねた前置きが大変長くなり恐縮ですが、今回の演奏旅行の感想を述べさせていただきます。
今回の杭州の演奏会は世界レジャー博覧会のジャパンウイークと言う大きなイベントに、数ある日本の二胡教室の中
から選ばれ、そして二つの教室が合同で演奏したことは素晴らしいことであったと思います。
見ておられた中国の方々も「日本人がここまでやるのか」と驚かれた事と勝手に推測する次第です。
これも毎年実施される定期演奏会の内容のレベルの高さと真摯な演奏が認められたことによるものと思います。
また私は今回の演奏会に杭州支店の昔の仲間が聴きに来てくれたことにすごく感激しました。
更に演奏後その人たちが劉鋒先生と孫盗謳カに飛び入りで花束を贈呈してくれた心配りに感謝したいと思います。
また無事演奏会が終了した後の西湖遊覧、霊隠寺参拝は何度観光しても新しい思いが募ります。
更に上海への帰路立ち寄った鳥鎮東景区は私にとって初めての訪問であり、中国の昔の水郷生活を眼のあたり見る事
が出来素晴らしい一時を味わいました。
欲を言えばあの船上で「月兒彎彎照九州」を弾くことが出来たら最高だなあと思いました。
そして上海浦東空港で皆様と別れて上海に行き日本人には馴染みの深い和平飯店でジャズを満喫して来ました。
翌日は蘇州の虎丘を参拝して、そのあと昔5年間駐在した広州に移動し、昔の仲間の熱烈歓迎を受けて毎晩乾杯の
洗礼を浴びてきました。宴会の席上今回杭州の演奏会で披露された「茉莉花」「月亮代表我的心」「難忘今宵」を弾き、
上手く弾けたかどうかは想像にお任せいたしますが、仲間の喝采を受けました。その時の状況が写真4です。
写真4
今回の杭州演奏旅行は私にとって懐かしい中国を再度訪問出来たことと中国人の観客の前で皆さんと本格的な演奏が
出来たことは一生忘れえない「難忘今宵の思い」で一杯です。
最後に劉鋒先生並びに参加された皆さんと、この演奏旅行の実現に尽力されました矢野様に心より感謝申し上げます。
ありがとうございました。
私は会社を退職後 大阪でサンデー毎日の日々を送っております。
劉鋒二胡研究会は退会いたしましたが、大阪で劉鋒先生の愛弟子の福田先生に習っており体の許す限り二胡を愛し続
けたいと思っています。
劉鋒二胡研究会の皆様の益々のご発展をお祈りいたします。また大阪に来られた時は是非声をかけて下さい。
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